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第1問:眼瞼下垂とはどんな病気ですか?

正確には上眼瞼と下眼瞼と別に下垂があります。上眼瞼(うわまぶた)が種々の原因によってたれ下がって、瞳孔(ひとみ、黒目、ほとけさま)上縁にかかって見にくくなったものをいいます。普通、片目に見られますが両目に起こることもあります。

第2問:眼瞼下垂の分類 眼瞼下垂と上眼瞼皮膚弛緩症の違いについて


図1 下垂の程度分類
眼瞼下垂は図1の如くまぶたの縁とひとみとの関係によって決まります。即ちまぶたの縁がひとみの上縁にかかっているものをいいます。これとは別に加齢(老化のこと)により上まぶたの皮膚がたれ下がってきてひとみの上縁にかかった者を上眼瞼皮膚弛緩症といいます。この場合は鼻側より耳側の皮膚のたれている者が多いです。とりあえずセロテープを貼って持ち上げてもよいのですが、来客があるごとに貼ったり剥がしたりしなければなりません。
(注)最近は老化とか、老人性という用語は差別用語だということで用いない傾向があります。その時に加齢性という用語を使います。

第3問:眼瞼下垂の程度分類について

まぶたの縁(またはゆるんでたれた皮膚の下縁)とひとみとの関係から図1の如く軽度、中等度、強度と分けるのがもっともわかりやすいでしょう。
(注)まぶたの縁は均等に下垂しているわけではなく、斜めに横切っている時もあり、その場合、手術するかどうかは患者さんの不具合によって決めます。
(注)ひとみの大きさは、明るさ、年齢、個人でもその時々の状況によって絶えず変化するので、ひとみの直径を4oとか、3oとか、2oとか、1oなどと決めるのは無理です。

第4問:ひとみの上縁とまぶたの縁との正常な関係はどうなっているのでしょうか

茶目の縦径、およびひとみ縦径は日本人の場合、それぞれだいたい8〜10o、3〜4oと考えられます。従って茶目の上縁とひとみの上縁との間にまぶたの縁があればよいことになりますので、一般的には茶目の上縁より2o下方あたりまでまぶたの縁がくればよいでしょう。

第5問:高齢者では皮膚だけがたるんで下垂している人と、もともと下垂があるところにさらに皮膚がたれてきている人などがあるのではないでしょうか

全くその通りです。下垂には@真の下垂(まぶたの縁の下垂)と、A加齢による皮膚のたるみ(見かけの下垂)と、Bこの2者(@とA)との合併したものの3種類に分けることができます。Bの場合、@とAがどの程度ずつ関与しているかを考え、それぞれどの程度に応じて手術をするかが眼科医の腕の見せ所です。

第6問:まぶたの縁の下垂がいつから生じたかについて

生まれつき眼瞼下垂の者と50〜60代になってから下垂してくる者とに大きく分けることができます。前者を先天性下垂、後者を後天性下垂といいます。日本人の人口構成が高齢化してくるにしたがって後天性下垂が激増してきました。当院の患者さんでは先天性下垂:後天性下垂は1:9ぐらいです。先天性下垂は遺伝子に関係した下垂と胎生期における何らかの原因による下垂にわけることができます。遺伝子による下垂の頻度が最近急に大きく変わったとは考えにくいのですが、私たちの生活環境が格段とよくなったのでその部分で胎児に悪影響を与える要因は減ってきていると思います。
2007年はいよいよ団塊の世代の定年が始まります。今や65歳以上の日本人は2500万人いるといわれます。その上、75歳以上の人(後期高齢者と呼ぶようになりました)が総人口の約1割といわれ、その上、高齢者が増えてきたこと、美意識に対する日本人の感覚が変わってきたことなどによりか加齢性眼瞼下垂の手術を希望する方が増えてきたものと思われます。
先天性眼瞼下垂についてはごく軽い先天性下垂、すなわち軽度下垂の中でもさらに軽くて、ひとみの上縁より上方にあるけれど、左右両眼を比較すると明らかに片目が下垂している者、こういう人たちは今まで手術をする機会が余りなかったのですが、最近はこういう人たちも目がびっこだといって手術を希望する機会が間違いなく増えていると思います。従って先天性下垂の方で年頃になってから僅かな下垂の手術を希望する人が増えてきたように思います。またこのグループの人たちは30歳台・40歳台になると「加齢性眼瞼下垂」や「上眼瞼皮膚弛緩(うわまぶたの皮膚のたるみ)」を起こしやすいと思っております。しかしいずれにしましても後天性下垂のほうが先天性より圧倒的に多いのです。
この10年以上、人口10万程度の地区の校医をしていて、そのごく大雑把な印象ですが、ごく軽度の眼瞼下垂の子供は100人に1人位いるような感じで、また兄弟で眼瞼下垂だったもの即ち遺伝に関係していると思われる学童を一組見つけております。