私の父も「目医者」でありましたし、私の立場を考え私も父の後を継がなければならないと小さい時から自覚しておりました。父からは一度も強制されたことはありません。
私は長い間「眼の病気を正しく診断し治療出来る」様に努力して参りました。それが「眼科医の一番の責任」と考えて来ました。しかし、人生の後半になってから考えが変わって来ました。最近、それを非常に判りやすく説明できるようなあしなが育英会のTVCMで小学４年Tさんの作文に出会いました。その一部を次に掲載いたします。

「父の日にやりたいこと」
お父さんと
またレストランに行きたい。
（中略）
父の日は
お父さんを忘れないように
思い出して泣きたい。

いつか大きくなったら、
お父さんがなった病気を治せる
医者になりたい。

これはすてきなお父さんを思い出しての、すてきな詩です。
これ以上何も言うことはありません。しかし、私には気になる点が一つだけあります。
今の私は
「病気を治せる医者」になりたいのではなく「病気の『ひと』を治せる医者」になりたいのです。病気はえらい人に研究して治してもらいましょう。私は病気の『人』を治してあげたいと思い、日夜働いています。